テクニカルインフォメーション

ケミルミイメージング

ケミルミイメージングとは

ウエスタンブロッティングやサザンブロッティング・ノーザンブロッティングの検出には、化学反応によって発光する試薬が用いられます。
この反応で発光する現象は、化学発光=ケミルミネッセンス(Chemiluminescence)と呼ばれています。
ケミルミイメージングとは、ケミルミネッセンスを略した言葉=ケミルミと、ブロッティング後の発光検出を画像として撮影するイメージングを合わせた造語です。
アトーでは、ケミルミイメージング用の装置として、冷却CCD カメラシステム「ルミノグラフ」を用意しています。

型式 WSE-6170 WSE-6370 WSE-6270
品名 LuminoGraphⅠCMOS LuminoGraphⅢLite LuminoGraphⅡEM
 

WSE-6170_左向き_扉オープン_メンブレン_WEB.jpg

ノイズを軽減して長時間露光を可能にした高性能CMOSカメラを採用したケミルミ撮影装置です。ウェスタンブロッティングやゲルの蛍光検出など、多様な用途に適応する新世代のケミルミ撮影装置です。

03_扉open のコピー.png

高解像度6メガピクセル冷却CCDカメラと、高感度F0.8レンズを搭載したハイエンド ケミルミ/蛍光 撮影システムです。蛍光光源にはエネルギー効率が高く、高効率で波長変換できる蛍光体を使用した高輝度のハイパワー白色 LED 光源を採用しているため、短時間で明るい画像が取得できます。

WSE-6270 LuminoGraphⅡEM_360pix.jpg

4メガピクセルの高解像度、超高感度 冷却EMCCDカメラを採用したハイエンドケミルミ蛍光撮影システムです。オプションの多種多様な蛍光励起用光源、白色透過光源により、ケミルミだけでなく、蛍光、近赤外光など多様なアプリケーションに使用できます。

カメラ 冷却CMOS 冷却CCD 冷却EM-CCD
画素数 約400万画素
(2688×1512Pixels)
約600万画素
(2750×2200Pixels)
約400万画素                         (2460×1620Pixels)
レンズ F0.95 単焦点レンズ F0.8 高感度単焦点レンズ F0.8 高感度単焦点レンズ
撮影サイズ 108×60~196×110 mm 100×75~260×200 mm 106×70~273×180 mm
感度設定 ゲイン(HQ / STD / High / Ultra)
ビニング(1×1 / 2×2 / 4×4)
ビニング(2×2 / 4×4 / 6×6) EMゲイン(HR / STD / High / Ultra)
ビニング
光源 trans-White  / trans-Cyan 
(庫内照明 epi-White)
※一部オプションあり
trans-White  / epi-Blue (466 nm) / epi-Green (525 nm) / epi-Red (623 nm)
(庫内照明 epi-White)
※一部オプションあり
trans-UV / trans-White  / trans-Cyan
epi-Blue (466 nm) / epi-Green (520 nm) / epi-Red (620 nm) / epi-NIR (720 nm) 
(庫内照明 epi-White)
※一部オプションあり
フィルター ND / LPF560 ND / BPF595 / BPF535 / BPF680
※一部オプションあり
ND / BPF600 / BPF525 / BPF690 /  LPF830
※一部オプションあり
データ保存 PC制御のためPC内
16bit(TIFF/CCD)
8bit(TIFF/JPEG/BMP)
PC制御のためPC内
16bit(TIFF)
8bit(TIFF/JPEG/BMP)
PC制御のためPC内
16bit(TIFF/CCD)
8bit(TIFF/JPEG/BMP)

ISO-24421:2023の
適合

適合 適合 適合

ケミルミイメージングに必要な発光試薬

HRP 用発光基質

ケミルミ_HRP_medium.pngウエスタンブロッティングでは、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)を標識した2次抗体をメンブレン上の抗原と結合した1次抗体と結合させます。
そしてルミノールと過酸化水素を含む発光試薬(発光基質)を加えて検出します。
このHRP標識2 次抗体が結合するメンブレン上の1次抗体に特異的なバンドからは、極大波長425nm の光が発せられます。
ウエスタンブロッティングの発光検出に使用されるHRP 用発光試薬として、アトーにはEzWestLumi plusEzWestLumi Oneがあります。
この試薬は、数秒から数十分の露光時間でバンドの検出を可能としており、発光は1時間以上安定しています。
この方法は発光試薬を添加してすぐに強い発光が起きるため、発光試薬を発光撮影の直前にメンブレンに添加することをお勧めします。

 
型式 試薬名称 酵素
WSE-7120S / 7120L EzWestLumi plus(高感度タイプ) HRP
WSE-7110 EzWestLumi One(1液タイプ) HRP

 

ALP用発光基質

ケミルミ2_ALP.pngサザンブロッティング・ノーザンブロッティングでは、ALP (アルカリフォスファターゼ) をプローブに直接標識したり、ビオチンやDIG といったリガンドを介して標識し、ジオキセタン系発光試薬を加えて発光検出を行います。
このときメンブレン上のALP標識プローブが結合した特異的なバンドからは、極大波長470nm の光が発せられます。
サザンブロッティングやノーザンブロッティングに使用されるALP用発光基質は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の「CDP-star」などが代表的です。
サザンブロットやノーザンブロットの検出キットにはALPが標識酵素として多く使われています。
この検出方法では、発光試薬を添加してから発光が強くなるまで時間が必要です。
37℃で5 ~ 15 分インキュベーションするか、室温で1 時間程度インキュベーションすると撮影に適した強い発光が得られます。

ケミルミ撮影に適したCCDとは?

発光検出試薬の波長(420nm ~ 500nm) で感度の良いCCDです。

ケミルミ3__1_medium.png

HRP やALP の発光試薬は、425nm ~ 500nmの波長域が最も強くなります。
これはEtBr のような蛍光検出試薬に比べると、同じ可視領域の光でも短い波長といえます。
ゲル撮影装置に採用されているCCDもデジカメに比べると高感度ですが、発光検出には感度が低いため、特に500nm 以下で感度の高いCCDが求められます。
アトーケミルミ撮影装置「ルミノグラフ」ではこの波長域で感度の良いCCDを採用し、発光撮影に対応しています。

 

 

 

 

高感度なCCDカメラとは?

500nm 以下の波長域の感度が高いCCD を使用する、高いS/N 比を得るための低ノイズ化、微弱シグナル領域を検出できる高ビット階調化

ケミルミ4_CCD_medium.png


ケミルミ撮影のカメラが高感度であれば、鮮明な泳動パターンを短時間で撮影することが可能です。
このようなカメラを実現するには、発光検出の感度が高いCCD を使い、長時間露出してもノイズが少なく、データの階調数を多くする必要があります。
「ルミノグラフ」アトーケミルミ撮影装置のカメラは、長時間露光用にノイズを低減するため、冷却CCDカメラを採用しています。
CCDは冷却することでノイズを減らすことができますが、一定の温度でに安定していることとが重要です。
アトーでは、冷却用ペルチェ素子の放熱機構(強制空冷式2 段ペルチェ冷却方式) を工夫し、長時間安定した冷却状態が維持できるようにしました。
この安定した冷却機能により、ダークイメージ(ノイズデータ) を差し引いたときの黒抜けなども効果的に抑えることができ、高感度撮影を実現しています。
また、画像は14 ビット(16384 階調)データとして得られるため、微弱な発光の検出も可能です。

 

 

定量に最適なデータを得るためには?

1つ1 つのバンドがシャープに分離されている、バンドの抜けなどがない完全な泳動パターンが得られている、
発光検出ではバックグラウンドが低く均一である、撮影したバンドのシグナルが濃度に比例して高くなっている

ケミルミ撮影した画像データは、定量解析を行いバンド同士の濃度比較を行います。
解析ソフトは進化していますが、きれいな電気泳動パターンで比較した方が解析作業も容易になります。
そのため、電気泳動、ブロッティング、抗体反応やハイブリダイゼーション、発光検出のすべての操作を丁寧に行うことが解析を容易にする近道となります。
当社では、電気泳動やブロッティング、発光検出に関する装置・試薬・実験のコツ資料を準備しておりますので、是非、ご活用ください。

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