テクニカルインフォメーション

電気泳動 & ウェスタンブロッティング 蛍光イメージング

My project コピー (1).png

電気泳動やウェスタンブロッティング解析で理想的なデータを得るためには、ターゲットの発現量や実験目的、使用する撮影装置に応じて検出方法を選択する必要があります。
たとえばCBB染色されたタンパク質の電気泳動ゲルでは可視光による検出、蛍光染色されたDNAの電気泳動ゲルでは蛍光による検出、HRP検出を利用したウェスタンブロッティングでは発光検出方法といったように、実験目的と検出感度により検出試薬が異なってきます。
最も重要なことは、検出方法、特に検出試薬に最適な光源とフィルターの組み合わせで、可視光・蛍光・発光のイメージングを行うことです。
ここではアトーの電気泳動・ウェスタンブロッティングシステムによりDNAやタンパク質を解析したデータを、アトーのイメージングシステムで撮影した結果を紹介します。

※ 各セクションの上部枠内に励起光源(例:UV、CyanoView等)とフィルター(例:Orange filter、595nm(BP) filter等)を記載しています。
※ 各画像の上部に蛍光染色試薬名を記載しています(試薬名は各社の登録商標です)。
※ 各画像の下部に撮影時の露光時間を記載しています。

蛍光染色イメージ(DNA)と光源やフィルターの影響

1.2%アガロースゲル(1×TAE)でDNAのサイズマーカーを泳動し、泳動後のゲルを様々な蛍光試薬で30分間染色したゲルを、撮影した結果を示しています。
EzPreStain DNA&RNAは泳動バッファーに添加し、泳動中に先染めしています。
上段はUV光源、下段はシアン光源で励起し、同じ装置、フィルターを使用して撮影した画像です。
蛍光染色試薬により検出感度が異なるだけではなく、光源との組み合わせによる影響も大きいことが分かります。

Printgraph Classic DNA UV.png

Printgraph Classic DNA Cyan.png

WSE-5400 Printgraph Classicにより撮影

  

下図はシアン光源を使用した場合でも、2次フィルターの違いにより、露光時間が異なり、S/N比が変わる場合があります。

Printgraph CMOS DNA Cyan.png

WSE-5300A Printgraph CMOS Ⅰにより撮影

  

下図はカラー撮影をしたイメージです。2次フィルターを通した撮影像のため、色素本来の色ではありませんが、蛍光色素による違いがわかります。

Printgraph Classic DNA Cyan color.png

WSE-5400 Printgraph Classicにより撮影

使用製品

WSE-7130 EzFluoroStain DNA
WSE-7135 EzPreStain DNA&RNA
WSE-1710 サブマージ ミニ
WSE-5300A Printgraph CMOS Ⅰ
WSE-5400 Printgraph Classic
WSE-5600 CyanoView

※他の撮影装置でも同様のデータが撮影できます。製品名をクリックしてご確認ください。
WSE-6270 LuminoGraph ⅡEM

EtBrとEzFluoroStain DNA/EzPreStain DNA&RNAの比較

Printgraph Classic DNA Cyan Pre vs FL.png 
Printgraph Classic DNA UV Pre vs FL.png

EcoRIもしくはEcoRI/BamHIで制限酵素処理したCLucベクターを1.2%アガロースゲル(1×TAE)でを泳動し、泳動後のゲルを様々な蛍光試薬で30分間染色したゲルを、撮影した結果を示しています。
EzPreStain DNA&RNAは泳動バッファーに添加し、泳動中に先染めしています。
EzFluoroStain DNAは蛍光強度も検出感度も高いため、バンドがスメアに見えることがあります。そのような場合は露光時間を短縮すると(1/2~1/8)、EtBr同等のイメージが撮影できます。
一方、EzPreStain DNA&RNAの検出感度はEtBrと同等です。

使用製品

CL-VVMC CLucプロモーターレスベクター(pCL Vector)
WSE-7130 EzFluoroStain DNA
WSE-7135 EzPreStain DNA&RNA
WSE-1710 サブマージ ミニ
WSE-5400 Printgraph Classic
WSE-5600 CyanoView

EtBr と EzPreStain DNA&RNAの検出感度

Printgraph Classic DNA Cyan EtBr vs Pre.png

Printgraph Classic DNA UV EtBr vs Pre.png

EcoRIもしくはEcoRI/BamHIで制限酵素処理したCLucベクターを1.2%アガロースゲル(1×TAE)でを泳動し、泳動後のゲルを様々な蛍光試薬で30分間染色したゲルを、撮影した結果を示しています。
フィルターや励起光源に依存しますが、 図に示したように、EzPreStain DNA&RNAの検出感度はEtBrと同等です。

使用製品

CL-VVMC CLucプロモーターレスベクター(pCL Vector)
WSE-7130 EzFluoroStain DNA
WSE-7135 EzPreStain DNA&RNA
WSE-1710 サブマージ ミニ
WSE-5400 Printgraph Classic 
WSE-5600 CyanoView

タンパク質の染色イメージ

Printgraph Classic Protein Color_FV.pngPrintgraph Classic Protein Color_CV.png

CBB染色(EzStain AQua)および各蛍光染色液で染色したゲルを、表示した光源とフィルターの組み合わせで撮影した画像を示しています。
  
サンプル
Lane 1, 14: EzProtein Ladder
Lane 2, 13: EzStandard Ⅱ
Lane 3, 12: EzLabelFluoroNeo添付マーカー
Lane 4, 5: Chick muscle protein
Lane 6, 7: E. Coli extract protein
Lane 8, 9: HeLa cell extract protein
Lane 10, 11: Chick muscle protein

使用製品

AE-1340 EzStain AQua
WSE-7020 EzProtein Ladder 
WSE-7015 EzStandard Ⅱ
WSE-7010 EzLabel FluoroNeo
AE-6530 ラピダス ミニスラブ電気泳動槽
WSE-3100 PowerStation Ghibli I
WSE-5400 Printgraph Classic
WSE-5600 CyanoView
FLAT Viewer

※他の撮影装置でも同様のデータが撮影できます。製品名をクリックしてご確認ください。 
WSE-5300A Printgraph CMOS Ⅰ
WSE-6270 LuminoGraph ⅡEM

リン酸化タンパク質の検出

Printgraph_Classic_ProQ Merge.png

ProQ Diamondでリン酸化タンパク質を検出した後に、同じゲルをSYPRO Rubyで染色した結果を示しています。重ね合わせたイメージはCS Analyzerで作成しました。
  
サンプル
Lane 1, 14: EzProtein Ladder
Lane 2, 13:EzStandard Ⅱ
Lane 3, 12: EzLabelFluoroNeo添付マーカー
Lane 4, 5: Chick muscle protein
Lane 6, 7: E. Coli extract protein
Lane 8, 9: HeLa cell extract protein
Lane 10, 11: Chick muscle protein

使用製品

WSE-7020 EzProtein Ladder 
WSE-7015 EzStandard Ⅱ
WSE-7010 EzLabel FluoroNeo
AE-6530 ラピダス ミニスラブ電気泳動槽
WSE-3100 PowerStation Ghibli I
WSE-5400 Printgraph Classic
WSE-5600 CyanoView

 
※他の撮影装置でも同様のデータが撮影できます。製品名をクリックしてご確認ください。 
WSE-5300A Printgraph CMOS Ⅰ
WSE-6270 LuminoGraph ⅡEM

蛍光標識タンパク質の検出

EM 蛍光ゲル_Cy2.png   Cy2_3_5表.png

Cy2でラベルした肝細胞抽出液、Cy3でラベルした大腸菌抽出液、Cy5でラベルした血漿サンプルを電気泳動し、蛍光ラベルされたタンパク質をそれぞれに適した励起波長とフィルターの組み合わせで撮影した結果を示しています。重ね合わせたイメージはCS Analyzerで作成しました。

使用製品

WSE-6270 LuminoGraph ⅡEM
AE-6530 ラピダス ミニスラブ電気泳動槽
WSE-3100 PowerStation Ghibli I

蛍光ウェスタンブロッティングの検出

EM 蛍光WB.png   WB表.png

大腸がん由来細胞株(Colo205)からEzProteoLysis Nativeを使用してタンパク質を抽出し、 EzLabel FluoroNeoで標識し、 未ラベル、およびラベルしたサンプルの1/2希釈系列を、4~20%の濃度勾配ゲル(UH-T420)で分離しました。EzFastBlot HMWを使用して、ClearBlot膜(低蛍光)に転写し、EzBlockCASで室温で30分ブロッキング後、それぞれのターゲットに対する1次抗体および蛍光標識2次抗体と反応して検出た結果を示しています。

サンプル
Lane 1, 8: EzProtein Ladder
Lane 2~7: Colo205 extract (1/2 dilution)
Lane 9~14: EzLabel FluoroNeoでラベルしたColo205 extract (1/2 dilution)

使用製品

WSE-7010 EzLabel FluoroNeo
AE-6530 ラピダス ミニスラブ電気泳動槽
WSE-3100 PowerStation Ghibli I
WSE-6270 LuminoGraphⅡEM

蛍光ウェスタンブロッティングの検出感度の違い

WB.png   Transferrin WB条件.png

10ng/ レーンからの1/2 希釈系列で泳動したトランスフェリンタンパク質を、抗トランスフェリン抗体でウェスタンブロッティングした結果を示しています。
HRP発光基質と反応後に発光撮影、もしくは近赤色、青色または赤色LED で励起して蛍光撮影した撮影イメージです。
  
ゲル:UH-R420
サンプル:  ヒトトランスフェリン
 (10 ng/レーンからの1/2希釈系列)
転写条件:  EzFastBlot, 24V, 15分
ブロッキング:EzBlockCAS, 1時間
1次抗体:抗ヒトトランスフェリン ウサギポリクローナル抗体
2次抗体:HRP標識抗ウサギIg抗体
2次抗体:Alexa 800標識抗ウサギIg抗体
2次抗体:IRDye 800 標識抗ウサギIg抗体
2次抗体:Alexa 647 標識抗ウサギIg抗体
2次抗体:StarBright700標識抗ウサギIg抗体

使用製品

WSE-7110 EzWestLumiOne
WSE-7120 EzWestLumi plus 
AE-6530 ラピダス ミニスラブ電気泳動槽
WSE-3100 PowerStation Ghibli I
WSE-6270 LuminoGraphⅡEM

ATTO推奨撮影条件

※表内の「Ex」は「 励起波長」、「Em」は「蛍光波長」を示しています。

DNA染色_800.png

蛍光ウェスタンブロッティング_800.png

タンパク質ゲル染色_800.png

蛍光タンパク質_800.png

トータルタンパク質_800.png